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碁石
碁石に関する日本最古の文献は風土記(733年頃成立)に見られ、
常陸国風土記に鹿島のハマグリの碁石が名産として記述されている。
また出雲国風土記に「玉結浜」の伝説があり、
この海岸からは碁石に適した石が採れたという。
奈良県の藤原京で発掘された碁石は丸い自然石で、材質は黒石が黒色頁岩、
白石が砂岩。7世紀末~8世紀始めに使用されていたと推定される(週間碁)。
自然石の碁石は江戸期まで使用された。
本因坊道策が幼いころ使ったという碁盤と自然石の碁石が現存している。
正倉院に所蔵された聖武天皇愛用の碁石は
紅牙撥鏤碁子(こうげばちるのきし)と名づけられ、直径1.6cm 厚さ0.8cm。
当初は600枚が納められたと伝えられるが、現存するのは252枚である。
象牙を染めて花鳥の文様を彫り付けたものであり、色は緑と紅色である。
源氏物語絵巻では碁石は黒と白のものが使用されていることがわかる。
現在は黒は黒色の石を用い、那智黒石
(三重県熊野市で産する黒色頁岩または粘板岩)が名品とされる。
白はハマグリの貝殻を型抜きして磨いたものである。
碁石の材料となるハマグリの代表的な産地は古くは鹿島海岸や志摩の答志島、
淡路島、鎌倉海岸、三河なども碁石を産した。
鹿島のハマグリは殻が薄く、明治期の落語の速記本に
「せんべいの生みたく反っくりけえった石」と描写されるように、
古い碁石は5mm以下の薄いものが多い。
その後、文久年間に宮崎県日向市付近の日向灘沿岸で貝が採取されるようになり、
明治中期には他の産地の衰退とともに市場を独占し上物として珍重された。
現在では取り尽くされてほとんど枯渇してしまっている。
現在一般に出回っているものはメキシコ産である。
黒石に対してハマグリ製の白石は非常に値が張る。
高級品は貝殻の層(縞のように見える)が目立たず、
時間がたっても層がはがれたり変色したりしない。
ハマグリの碁石は庶民が気軽に買えるものではなく、
明治期には陶器や竹製の安物の碁石が存在した。
大正時代にガラスの碁石が試作されたが、
当初は硬化ガラスではなく普通のガラスだったので極めて割れやすいものだった。
その後プラスチックや硬質ガラス製の製品が出回った。
安価な用具の大量生産が囲碁の普及に果たした役割は大きいと言える。
近年では持ち運び用のマグネット製のものもある。メノウ製の高級品もある。